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ガイドライン2012 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/12 09:33

 

 年度末に発生した課題として、これも残っていました。結構経ったのと背景が色々とありますので、復習から入ります。3月2日に開催された第7回肝炎対策推進協議会で、このようなやり取りがありました。

 

 関連過去エントリ

 第7回肝炎対策推進協議会(2012/3/26)

 第7回肝炎対策推進協議会(議事録)(2012/4/9)

 


○木村委員

 それと、今までガイドラインでは35歳を境にというのがありましたけれども、先ほど35歳以上でも効果がある程度見られる場合もあるという発表がありましたが、今後ガイドラインを変更する予定はあるのですか。

 

○林会長

 明日、熊田先生のところから発表があるかと思いますが。


 

 例年3月上旬頃に公表されている、治療ガイドラインの話です(昨年の記事リンク)。まず、木村伸一さんの発言にもある「35歳を境にというのがありました」について補足すると、従来から「慢性B型肝炎の治療ガイドライン」には主要な判断材料として年齢がありまして、「35歳未満」と「35歳以上」に二分されています。内容には2009年版でかなり大きな見直しが掛かりましたが、それ以前は概ね「35歳未満は経過観察、35歳以上は核酸アナログ製剤(Entecavir)」となっていました(09年当時の記事リンク)。

 

 一方で、この協議会の資料を見ていただくと(記事再リンク)、C型肝炎については1992年のインターフェロン(IFN)療法(24週)承認以来の経緯が「C型慢性肝炎に対する治癒目的の治療法の進歩」と紹介されています。B型肝炎についてはIFN療法(4週)の効果が相対的に低かったことから、2000年(Lamivudine承認)以降「治癒目的の治療法」ではないと位置付けられる核酸アナログ製剤にシフトしてきた経緯があるわけです。

 

 といった背景をふまえると、昨年9月にB型肝炎にもPeg-IFN療法(48週)が承認された件、即座に医療費助成の対象に追加された件は結構大きな転換点だと思われます。C型肝炎については直後に新薬が承認されまして、相変わらずC型の型落ちにならないと適用されない傾向には納得がいかない面もありますが、この措置自体は重要なイベントだといえるでしょう。

 

 今年のガイドラインにはこうした情勢が反映されるはずなのですが、関係先の動きが観測できません。そこで3年ぶりに「専門医からのリーク」(記事再リンク)を当てにしたものの、今回は「私は出席できませんでしたが、熱心な患者さんが参加され、資料提供してくださいました」だそうです。もはや専門医・患者の単独行動が連携しないと最新の情報は拾えないのでしょうか。

 

 速報:2012年B型慢性肝炎治療ガイドライン(はやさかクリニック)

 

 私は画像のテキスト起こしと、手元の昨年3月版を基準とした変更点の抽出を担当しましょう。画像でも変更点は色変えになっているのですが区切りが怪しいので、こちらで適宜調整します。なお、分量が多いので、変更の無い箇所は一部省きます。

 


B型慢性肝炎治療ガイドラインの基本指針

(※注:2012年版、このページは旧版との対比なし、強調は元資料のまま)

 

B型慢性肝炎の治療は、35歳未満はdrug free、最終的にはHBs抗原陰性化を目指してIFN単独治療あるいは核酸アナログ・IFNのsequential療法を基本とする。35歳以上は、HBV DNAの持続的陰性化およびALT値の持続正常化を目指して核酸アナログ製剤(初回核酸アナログ製剤Entecavir、LamivudineおよびEntecavirの耐性症例はLamivudine+Adefovir併用療法)を長期投与あるいは核酸アナログとIFNを使用し、HBs抗原陰性化を目指す。

【IFN・sequential治療とは核酸アナログ治療でHBe抗原が陰性化した(または陰性)症例でdrug freeを目指し、IFNと核酸アナログを1ヵ月間併用後5ヵ月間、あるいは核酸アナログ終了後連続してIFNを24週間(48週間)使用し治療を中断する治療と定義する。】


35歳未満B型慢性肝炎の治療ガイドライン

 

治療対象は、ALT≧31IU/Lで:
 HBe抗原陽性例は、HBV DNA量5 log copies/mL以上、
 HBe抗原陰性例は、4 log copies/mL以上
 肝硬変では、3 log copies/mL以上

 

(e抗原陽性・≧ 7 log copies/mL)
Peg-IFNα2a(48週)またはIFN長期投与(24~48週)
②Sequential療法
Entecavir


(e抗原陽性・< 7 log copies/mL)
Peg-IFNα2a(48週)またはIFN長期投与(24~48週)
②Entecavir


(e抗原陰性・≧ 7 log copies/mL)
①Sequential療法
(Entecavir+IFN連続療法)
②Entecavir


(e抗原陰性・< 7 log copies/mL)
①経過観察またはEntecavir
Peg-IFNα2a(48週)
IFN長期投与(24週)

 

血小板15万未満またはF2以上の進行例には最初からEntecavir

(※注:この行は「e抗原陰性」の枠から表組の外に移動された)


35歳以上B型慢性肝炎の治療ガイドライン

 

治療対象は、ALT≧31IU/Lで:
 HBe抗原陽性例は、HBV DNA量5 log copies/mL以上、
 HBe抗原陰性例は、4 log copies/mL以上
 肝硬変では、3 log copies/mL以上

 

(e抗原陽性・≧ 7 log copies/mL)
①Entecavir
②Sequential療法


(e抗原陽性・< 7 log copies/mL)
①Entecavir
Peg-IFNα2a(48週)またはIFN長期投与(24~48週)


(e抗原陰性・≧ 7 log copies/mL)
Entecavir
②Peg-IFNα2a(48週)


(e抗原陰性・< 7 log copies/mL)
①Entecavir
Peg-IFNα2a(48週)IFN長期投与(24~48週)


 Lamivudine投与中B型慢性肝炎患者に対する

核酸アナログ製剤治療ガイドライン


(※表には変更が無いため略、注釈のみ追記あり)
1) 持続期間は、6ヵ月を目安とする (※注:HBV DNA量<2.1logの持続期間)

2) VBT: viral breakthrough(HBV DNA量が最低値より1 log copies/mL以上の上昇)


B型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-1)

 

1. B型肝炎は、HBV genotypeにより治療効果が異なるため、genotypeを測定して治療法を決定する。特に、genotype A, Bは、35歳以上でもIFNの効果が高率であることから、可能な限りかぎりPeg-IFNα2a(48週間)あるいはIFN(24週間~48週間)を第一選択にすることが望ましい。

2. IFNの投与期間は、24週間を原則とするが、有効症例(HBV DNA低下、ALT値正常化)は、48週間投与が望ましい。
32. IFN在宅自己注射可能な症例は、QOLを考慮して在宅自己注射を推奨する。
43. Lamivudine及びEntecavir耐性株に対しては、Lamivudine+Adefovir併用療法を基本とする。しかし、Lamivudine+Adefovir併用療法を行って3年以上経過してもHBV DNAが4 log copies/mL以上でかつALT値≧31IU/Lの症例はEntecavir+Adefovir併用療法も選択肢のひとつとなる。
54.Lamivudine、Adefovir 、Entecavirのいずれの薬剤にも耐性株が出現した症例に対しては、Entecavir+Adefovir併用療法あるいはTenofovirも選択肢のひとつとなる。


B型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-2)

(※昨年版では1ページだったが分割された)

 

65. Sequential療法を行う場合は、核酸アナログ治療でHBe抗原が陰性化(または陰性)症例で核酸アナログを十分投与し、HBV DNAの陰性化期間が1年以上経過し、Core関連抗原(HBcrAg)も4.03.0 Log U/mL以下、HBsAg 1000 IU/mL以下の症例に行うのが望ましい。
76. Adefovir併用療法を長期に行い、腎機能が悪化する症例では、Adefovirは隔日投与にする。
87. 抗ウイルス療法は、ALT値が≧31IU/Lの場合に考慮する。35歳以上でF2以上の進行例にはALT<31IU/Lでもウイルス増殖が持続する症例は抗ウイルス療法の対象となる。しかし、高齢者やHBe抗原陰性例、抗ウイルス剤の投与が難しい例では肝庇護療法(SNMC、UDCA等)で経過をみることも可能である。

9. Lamivudine投与中でHBV DNAが陰性化が持続する場合は原則Entecavirに切り替える。またEntecavirに切り替える際はLamivudineの耐性変異がないことを確認することが望ましい。
108. HIV合併症例は、Entecavirの使用によりHIV耐性ウイルスが出現する可能性があるためEntecavirは原則として使用すべきでない。従ってEntecavir開始時にはインフォームドコンセントを取得した上でHIV抗体の測定を行うことが望ましい。


 免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策(補足-4)
(※変更が無いため略)

 

なお、この内容は「免疫抑制で発症するB型肝炎対策ガイドライン」(2011.9.26改訂版)として、日本肝臓学会公式サイトにも掲載されています(参考リンク)。


 

 以上です。補足の3が無くて4になっているのは気になりますが、以前は「Lamivudine投与中…」が補足の後に入っていたための欠番かもしれないのでとりあえず保留としておきます。今回の要点はやはりPeg-IFN対応で、あわせて投与期間のベースが24週から48週に延長されるなどの調整も入っています。

 

 そして3年前と同様、なぜか慢性B型肝炎のガイドラインに大きな見直しが掛かると一般公開が露骨に遅くなるという現象が発生しているようです。今回はC型肝炎のガイドラインも宙に浮いているために困ったことが起きているようです(※なお3年前は、C型肝炎患者に対するIFN72週延長のみガイドライン公開前から一般に周知されていました)。

 

 先に少しだけ取り上げたC型肝炎の新薬はTelaprevir(テラプレビル)製剤で、Peg-IFNα2b+Ribavirinとの3剤併用療法が既に行われています。ただ、注意事項が3つ挙げられています。以下、一部を抜粋します。


1. 重度の貧血の発現する傾向があることから注意を要する

2. 重篤な皮膚障害が発現するおそれがあることから皮膚科医との連携のもとで使用し、これら皮膚障害の発現した場合には3剤すべてを直ちに中止する。

3. 投与初期(1-7日間以内)より尿酸値、及びクレチアニンの上昇する症例が存在することから、尿酸値が異常値になったの場合、早期に高尿酸血症治療剤の投与が必要である。


 

 確か2番は以前から注目されていたと思いますが、どうやら3番はスルーされていた模様で、薬害原告筋からの情報です。

 

 C型肝炎治療新薬「テラビック」で17名に重篤な副作用(古賀克重弁護士ブログ、2012/5/10)

 

 治験から承認、医療費助成という展開が早すぎたような気もします。一方で、主に中高年~高齢者からなるC型肝炎患者が人柱をやってくれていると考えれば評価してもいいかもしれません。

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関連ニュース

メーデー!メーデー! 第6幕 ニュース記事に関連したブログ

2012/05/06 22:54

 

 おそらく今年で最終回ということになります。個人的にこの時期恒例としてきた年1回の連載でして、旧オーマイニュース当時の2007年に全労連系「中央メーデー」について労働闘争になっていないのではないかという問題提起を示しつつもネタ的記事を書いたのが発端です。その後の経緯は昨年まとめたので省きます(昨年の記事リンク)。

 

 昨年は取って付けたように「東北関東大震災の被災地支援」がトップに挙げられましたが、その後どうなったでしょう。今年も公式でPDFが公開されていたので紹介しましょう。

 

 

 

 政権交代直前の2009年には一瞬わりとまともになった気がしましたが(記事リンク)、翌10年には普天間騒動と基地外活動を受けてあっさりとそれ以前の路線に戻った経緯があります(記事リンク)。昨年3月の東日本大震災はどうみても制作スケジュール的に間に合っておらず、内容に反映された今回は「原発ゼロ」が追加されました

 

 そんな経緯がありまして、相変わらず労働条件の改善要求がほとんど含まれていないのは仕様なのですが、裏面を見ると「賃上げと雇用確保」その他の内容がわりと大きめに取ってあります。また、集会当日の報道もこんな感じで、以前は全然出てこなかった「雇用」が取り上げられるなど改善傾向がみられます。

 

 「安定した雇用と社会保障の拡充を」 全労連がメーデーiza、2012/5/1)

 

 もうひとつ、今年は東京新聞の社説を取り上げます。

 


【東京新聞社説】2012年5月1日付「『メーデー』 宣言だけではダメだ」より抜粋調整

 

 働く人たちの祭典・メーデーの季節だ。日本経済は低迷が続き、労働環境は一段と厳しさを増す一方で、メーデーの存在がかすんでいる。労働組合は宣言だけではなく、行動こそが重要だろう。

 

 (※略)統計の数字以上に国民の生活実感は悪い。そんな中、頼みとなるはずの労働組合が沈滞している。組合離れの実態は目を覆うばかりだ。 国内の労働組合員数は昨年、ほぼ半世紀ぶりに1千万人を割り込んだ。ピーク時の1994年から2割減の996万人になった。組織率は18%台まで落ちた。

 

 背景は正社員の減少と非正規社員の増加だ。経済のグローバル化に伴って、人件費抑制のため、企業が正社員を派遣労働者に置き換えたためで、今や非正規の割合は3割を超えた。危機感を強める連合は非正規の組合化に取り組み始めたが、もともと大企業の正社員中心の労組だ。(※略)

 

 それがメーデーにも表れてきた。先月28日にあったメーデー中央大会は「すべての働く者の連帯で、働くことを軸とする安心社会を実現する」との宣言を採択した。しかし、派遣切りが問題となった2007,08年は「ストップ・ザ・格差社会」と明快なスローガンだったのに対し、非正規対策の決意が伝わってこない。(※略)

 

 宣言を採択するだけのメーデーではなく、目に見える果実を示す。そうでなければ存在意義は失われてしまうだろう。


  

 「2007,08年」当時は1面コラム「筆洗」で全く無関係な話題にもとりあえず「格差社会」を付けていた※注)というすごい新聞なのですが、政権交代を境に控えていた得意技を使うことにしたようです。そんなわけで、5年前の時点ではまず見かけられなかった「メーデーで労働条件の改善を要求しないのはおかしい」という報道も、結構普通になってきたと思います。


※注:飛ばしていた当時の東京新聞の例

 

【筆洗】2007年3月18日付より抜粋

「救済の名の下に日本国を支配して自らその王となることを空想」したと東京地裁の判決文にある。オウム真理教元代表の麻原彰晃死刑囚(本名・松本智津夫)のことだ。強制捜査近しと感じるや、化学兵器のサリンを使った地下鉄への無差別テロを決行した。1995年3月20日のことで、12人が死亡、5000人以上が重軽症を負った。都心部の大混乱を目的とした「王」による日本への攻撃に見える。▼(※略)時間は事件の教訓も風化させていく。麻原死刑囚の下に若者が集まった背景には時代の空気がある。30代の元出家信者は「私たちには不安を引き受けてもらう対象が必要だった」と告白する。格差社会は新たな「王国」が生まれやすい社会かもしれない。▼被害者救済、事件の再発防止の道に終わりはない。  

 

【筆洗】2007年8月17日付より抜粋

この夏、日本中を席巻した人気商品といえば「ビリーズブートキャンプ」。(※略)▼永田町では安倍首相が、そのゴムひもをプレゼントされたと話題になって、中川秀直自民党幹事長も参院選前は「本気で選挙運動をやれば体重は五キロ減る。中川ブートキャンプだ」と冗談を飛ばしていた▼(※略)ところが肝心の自民党は、体重どころか議席の方を激ヤセさせてしまった。“美しい国”と言挙げしつつ、なんでも米国基準の格差社会化で、地方を痛めつけた安倍政権。「ブートキャンプ」なんぞにかまけて足元の「盆踊り」を忘れたからだ▼というわけで、岐阜県郡上市でお盆の四日間は、徹夜になる「郡上おどり」に参加してきた。(※以下略)


 

 以上、これは完結として良いのではないでしょうか。

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関連ニュース

毎日×毎日 ニュース記事に関連したブログ

2012/04/21 23:33

 

 前回は速報性を重視しまして、小宮山洋子厚生労働大臣の発言が公表された当日に思いついた範囲でネタを取りまとめましたが(記事リンク)、私が取り上げるべき内容がまだありましたので続きをお伝えします。まず、「問題にならないようです」と書きましたが、やはり古賀弁護士は取り上げられていました。

 

 薬事法改正、政府案提出を放棄(古賀克重弁護士ブログ、2012/4/18)

 

 という話はひとまず保留しまして、翌日の毎日新聞1面コラム「余録」がこういった内容でした。

 


【毎日新聞・余録】2012年4月19日付より

 

(※前半略)▲さて日本のねじれ国会を見ている外国人は、繰り返される「モンセキ」を聞いて国会を指す言葉と思うだろう−−とはむろん冗談である。だが、またまた資質の問われる閣僚の失態と、それを追及する野党によって切られる参院の問責カードというおなじみの光景だ▲国会答弁の迷走で失笑をかってきた田中直紀防衛相は、北朝鮮ミサイル発射をめぐる対応遅れでも袋だたき状態である。また公選法違反の事前運動や閣僚の地位利用を疑われる前田武志国土交通相は、旧態依然たる建設業界への利益誘導を思い起こさせて腹立たしい▲こんな閣僚だから、野党も切り慣れた問責カードを持ち出す。ただ両者が可決されれば、07年以降のねじれ国会での問責決議は政権交代をはさんで実に8件となる。消費増税法案をはじめ懸案山積の中、閣僚の去就を国会審議にからめる政局ゲームはもううんざりだ▲国民の信を失った閣僚の進退は政権自らがけりをつければいい。良識の府である参院の「モンセキ」はもともと党派間の勝負を決着させる切り札ではない。


 

 この数え方をする場合、「1件目」は2008年6月、福田康夫首相(当時)に対する問責決議ということになります。この事態に合わせて、各種の被害者救済等を目的とする法案がまとめて採決されて13法が成立(記事リンク)、参議院に残っていた25法案は廃案となりました(記事リンク)。

 

 08年6月当時、この問責決議の理由としては「後期高齢者医療制度の廃止に応じないこと」が主に取り上げられていましたが、他に政権批判に用いられていた素材としては「障害者自立支援法」「薬害C型肝炎訴訟」等も挙げられます(関連記事リンク)。しかし、この首相問責決議の結果として「障害者自立支援法改正案」や「特定肝炎対策緊急措置法案」も廃案になっていまして、この時点で客観的にみて「政策より政局」という決議だったといえるでしょう。

 

 私は当時の記事に「私たちには、少なくとも何らかの措置を勝ち取る日まで、この仕打ちを語り継ぐ責務がある」と書いていまして、まさに今がその時期なのではないかと思います。ということで続けます。

 

 なお、毎日新聞の記事に「切り慣れた問責カード」とあるように、問責決議案自体はそれ以前から年中行事のように出されていたもので、07年6月にはミスター「産む機械」柳澤伯夫厚労相とミスター「任命責任」安倍晋三首相に対する問責決議案が出されて否決されています。しかし、翌7月の参院選でもって安倍政権が事実上倒されます。2回続けての「年金選挙」の結末であり(記事リンク)、「ねじれ国会」の発端でもあります。

 

 当時の時点でも「問責決議に法的拘束力は無い」という枕詞が付いていましたが、いわゆる「KY報道」では犠牲者も出ており、半殺しの目に遭っての退陣となりました(記事リンク)。当時の毎日新聞の社説(web版を保存したもの)が手元にあったので紹介してみます。

 


【毎日・社説】2008年6月12日付「問責決議可決 民主は自ら手足を縛るな」より抜粋

 

 民主党などが提出した福田康夫首相に対する問責決議が11日、参院本会議で可決された。首相への問責決議の可決は史上初めてで、その意味を軽んじるべきではない。ただ、時期や狙いは適切だっただろうか。疑問が残る。
 毎日新聞は衆参のねじれの下、国会の機能不全状況を解消するために、できる限り早く衆院解散・総選挙を行うべきだと主張してきた。民主党問責決議で早期解散に追い込むとアピールしてきたはずだ。だが、今回、そんな切り札となるだろうか。
(※途中略)

 民主党内にはいったん問責決議を可決した以上、8月召集が予定される臨時国会以降も審議に応じないとの考えもある。しかし、それは国民の期待に応えるものだとは思えない。
 決議に法的規定はないのだから、むしろ、何度でも提出するくらいの柔軟さが必要だ。自ら手足を縛ることはない。今後も堂々と審議をし、解散・総選挙を目指すべきである。


 

 毎日新聞の主張は「衆院解散・総選挙に追い込むために、何度でも問責決議案を提出するくらいの手は使ってよい」というものでした。ということで、ネタ出し作業を続行します。

 

 さて、冒頭でも出てきました、前回紹介した古賀弁護士情報(先方の記事リンク)に戻ります。これは民主党政権が集団訴訟の合意内容を反故にしている現状に対する抗議声明でして、各種集団訴訟原告弁護団の連名になっています。内訳は「障害者自立支援法」「ハンセン病」「原爆症認定」「生存権」「B型肝炎」「中国残留孤児」「水俣病」と各種薬害(C型肝炎・HIV・イレッサ)の計13団体です。「生存権訴訟」は比較的知名度が低そうなので参考記事を貼ります。

 

 生存権訴訟 「旅行の回数減らした」「480円の刺身が買えない」「子供の散髪は年数回」(痛いニュース+、2009/2/11)

 

 中国残留孤児訴訟は安倍首相の時に特大サービスを受けて(記事リンク)撤収したと思ったのですが、久々に見かけました。ハンセン病訴訟などは小泉首相の頃です。内容的に微妙な薬害イレッサや、対象者の掘り起こしが全く追いつかないB型肝炎以外はおよそ収束しつつあると思ったら、最近はこんな記事も見かけました。

 


横光環境副大臣が水俣病患者会に謝罪 検診「迷惑」発言(朝日、2012/4/16)

 

 「水俣病不知火患者会」などが実施している集団検診について、横光克彦環境副大臣が「(救済策の申請締め切り後は)慎んでもらいたい」「他の団体に迷惑」などと発言したことを巡り、同会の大石利生会長らが16日、抗議のために環境省を訪問した。面会した横光副大臣は「誤解を与え、迷惑をかけた」と謝罪した。

 横光副大臣は、別の団体から「迷惑」という発言があり、それを受けたやりとりで生じた発言だとして、「本意ではない」と釈明した。しかし大石会長は「そういった趣旨の発言があれば、『違う』と否定する立場ではないのか」と批判。水俣を訪れて関係者に改めて謝罪することを求めた。


 

 まずは、過去の「失言問題」と比べても直接的な問題発言だと思われます。それから、「除斥期間」をねじ込まれているB型肝炎筋からすれば、原告側が公然と申請期限の撤廃を要求しているのもかなり大胆だと思います。私は1年ほど前に、「B型肝炎訴訟の和解に除斥の考え方が適用されれば、その影響で他の国賠訴訟原告筋が壊滅状態になる」と書きましたが(記事リンク)、実際には既得権化している部分はそう簡単には破れないのかもしれません。

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関連ニュース

いくつの難題 ニュース記事に関連したブログ

2012/04/18 19:38

 

 年度末の課題がまだ終わっていない状況ですが、こういう報道がありましたので対応してみようと思います。

 

 薬事法改正を見送り 薬害肝炎原告との約束ほごiza、2012/4/16)


 政府・民主党は15日、医薬品行政を監視・勧告する「第三者組織」の設置を盛り込んだ薬事法改正案の今国会への提出を断念した。野田佳彦首相が「政治生命を懸ける」と表明した消費税増税関連法案の審議を優先させるためだが、平成20年の薬害肝炎訴訟を教訓に、民主党の歴代厚生労働相は薬害肝炎原告団に対し「今通常国会への法案提出」を約束していただけに、関係者からは批判が出ている。(※以下略)


 

 なお、関係筋の間では1月頃から問題になっていた話です。

 

 国による基本合意の反故を許さない!集団訴訟共同抗議声明(古賀克重弁護士ブログ、2012/2/10)


 過去自民党政権時代、集団訴訟の解決は容易ではなかったものの、いったん基本合意した場合、国は基本合意を遵守してきました。

 

 ところが民主党政権になって、マニフェストはおろか、集団訴訟の基本合意の反故まで始まっています。政権の体をなしていないと言って過言でないでしょう。


 

 まあ、政権交代の原動力となった薬害C型肝炎訴訟原告筋には言われる筋合いも無い気もしますが、指摘自体は事実関係に基づいています。

 

 冒頭の記事でも触れられていますが、2008年1月に成立した薬害C型肝炎訴訟の救済特別措置法および和解基本合意では、「民主党の賛同を得て今国会中に成立させるため、原告側の主張を丸のみするしかなかった」(朝日新聞、2008/1/16)という背景があります(関連記事リンク)。こうして「全員一律救済」「経緯の検証および再発防止策の検討」「学習指導要領への記載」「薬害資料館の建立」等々、「五つの難題」でもきかないような特別措置が約束されました。

 

 個別の和解成立や検証・検討委員会の設置などは速やかに実現していたものの、「認定薬害被害者に限らずウイルス肝炎患者全般を対象とする基本法の成立」はねじれ国会の中で放置されたままとなっていました(記事リンク)。転機となったのが09年の「政権交代」です。基本法案は政争の具にされていただけでしたから、民主党政権が発足するとまともに反対する政党は無くなりました(記事リンク)。最後の障壁となったのが小沢一郎民主党幹事長(当時)の掲げた「政府与党一元化・議員立法原則禁止」でした(記事リンク)。

 

 薬害原告出身で「小沢ガールズ」主力の福田衣里子議員は、いきなり自民党に頼み込む街頭署名活動小沢氏に直訴など手段を選ばない活動を展開しました(記事リンク)。その過程で民主党それまで主張していた「低所得者について医療費全額助成」をあっさり削除したこと(※注)を受けて、確か民主党との対決路線を打ち出そうとしたみんなの党が反対に回ったような気がしますが、肝炎対策基本法は無事成立したのでした。

(※注:他の助成を利用できるため、実際には影響は無かったのかもしれません。記事リンク

 

 以上の経緯を今回改めて再掲したのにも理由があります。こちらをどうぞ。

 

 小宮山大臣閣議後記者会見概要(4/17分)厚生労働省公式、今日)より抜粋


(記者)薬害の第三者機関についてですが、一部報道で今国会での薬事法改正案は…。
 

(大臣)昨日の報道ですね。それは、書いた社には間違っていると私から抗議をいたしました。(国会の)委員会で言ったのは、政府として法案を提出するのは今国会は難しいということを言ったので、今は議員立法の動きがありますので、議員立法としてこの国会に提出されるということは全く否定しているものではありません。事実関係をきちんと報道してほしいということを報道した社には申入れをしています。


(記者)そうすると、薬事法の改正案ということで、政府として今国会というのは難しいけれども、議員立法であれば道筋をつけるべくということですか。


(大臣)もちろんです。これは、第三者機関については政府として取り組めればいいのですが、いろいろな今までの経緯もありこれは超党派の議員立法でやっていただくことがいいということを私からも議員にそういうお話しをして、今はそこの動きがあるというふうに承知をしています。


 

 というわけで、産経新聞社には抗議が行ったらしいです(という記事は見かけません)。今までの経緯をふまえて解釈すると、与党に政権担当能力が欠けているので超党派の議員立法でやってくださいという担当大臣の発言があったらしいです。わりと問題発言のような気もしますが、周りがアレなので問題にならないようです。

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関連ニュース

第7回肝炎対策推進協議会(議事録) ニュース記事に関連したブログ

2012/04/09 23:42

 

 年度末に出された宿題の2回目はこの話題になります。3月2日に開催されていた協議会について、公表されている資料をもとにエントリを作成したのが26日のことでしたが(記事リンク)、直後の29日には議事録も公表されました。こちらも仕事が速くなっています

 

 というわけで、資料には出てこなかった議論の部分からいくつか紹介してみます。まずは、平成23年度に実施された「肝炎検査受検状況実態把握事業」について取り上げられています。登場人物は、検診受診状況の件を追っている阿部委員です。

 


○阿部委員

 資料8の肝炎検査受検状況実態把握事業の概要ということで中間報告でございますが、(※略)例えば、受診率なども勿論毎年見ていかなければわからないわけですよね。だけれども、これは単年度の事業で、今後の方向にどのように結びつけていこうとなさっているのかがちょっと見えないので、わかればその辺をお願いしたいと思います。

 

○神ノ田肝炎対策推進室長

 この事業につきましては、単年度事業ということでやっていますので、今月末をもって一応の終了ということになりますけれども、その中で、まずは検査の実態が全然わからないじゃないかと。いろいろな検査を受ける機会があるのですが、全体として何割くらいの方が受けているとか、その辺がまだわかっていないと。また、受けていない方については、どういうことをすれば受けてもらえるような環境を整えることができるかとか、その辺もこの調査の中で把握できるかと思いますので、その結果を踏まえて施策にしっかりと反映させていきたいと思っております。


 

 昨年の前回協議会を受けて、私も公表されている受診者数や陽性率などのデータを収集整理してみました。平成14年度(2002年度)以降の各種検診で、40歳以上の世代については累計受診者数が1000万人をかなり超えているので、「ある程度行き渡った」のではないかと分析したのですが、これも実際どうなのかは全く不明だったわけです。といったところで、この議論の続きです。

 


○木村委員

 今の件に関してですが、調査の内容的なものをいただくことは可能なのでしょうか。
 それと、国民調査ですけれども、公表に向けた準備を4月にという予定ですが、公表はいつ時期にという日程が今現在あるのか、ないのか、その2点お聞きしたいと思います。

 

○神ノ田肝炎対策推進室長

 今日も参考資料につけておけばよかったのですけれども、調査票自体はホームページに既に公開しております。
 2点目が、いつごろかということでございますけれども、なるべく早くやりたいと思っております。少なくとも次回の協議会では、しっかとりわかりやすい形で加工して、どういった形で施策に反映させていったらいいかということも含めて御紹介できるように準備を進めていきたいと思っております。
(※中略)

○阿部委員

 実態把握事業の報告をして、次の年度の予算あるいは施策に結びつけていくということだと思いますけれども、そういう意味では我々も予算要望の関係もあって、できれば早い時期にというか、6月ごろとかそういうときにできれば協議会で議論して、具体的な施策を打っていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

○神ノ田肝炎対策推進室長

 先ほどもお答えしましたけれども、なるべく早く、今年度事業ですので、整理した後速やかに公開したいと思います。ただ、わかりやすく加工するのにちょっと時間をいただけたらなと思っておりますけれども。


 

 これは出ているだろうとは思われた、次回協議会を早期に開催して来年度(平成25年度)の予算獲得を目指してもらいたいという要望です。ただ、年度末までの期間で調査事業を行って、その結果を翌々年度の事業に利用しようとするとこういう展開になるわけで、日程的に厳しくなっています。このやり取りの直後で、局長から新年度の体制について説明されています。

 


○外山健康局長

 予算ではないのですけれども一言だけ。4月1日から肝炎対策推進室が訓令室から省令室に変わりまして格が上がるということで、見かけは変わらないのですけれども、役所の中での格が上になるということで一つ御報告でございます。

(※略)

 役所にとっては大事なことでございまして、健康局に新たに「がん・健康対策課(仮称)」というのも4月1日からできるのですけれども(※注:「がん対策・健康増進課」というのができたようです)、よく比較されるのは、がんの対策と肝炎の対策ということで皆さんの心の中にあると思いますので、肝炎の方もきちんと省令室に一段上がるということを強調していきたいと思っております。

(※略)

○外山健康局長

 お知らせですけれども、先ほどの神ノ田室長の肝炎対策推進室とはまた別に、今もB型肝炎の対策室があるのですが、それをきちんとした訓令室にして体制を整備して、今、巽調整官が申し上げたことについても(※注:B型肝炎訴訟対応)、きちんと体制を整備して行うというお知らせでございます。4月1日からです。


 

 治療と職業の両立、あるいはB型肝炎訴訟等に関する話が本題なのですが、分量があるのでこのあたりを抜粋しておきます。先月時点で関係筋から「推進室長が代わります」という話はありましたが、実際のところは推進室自体が格上げになり、専任の室長が置かれましたということらしいです。

 

 肝炎対策推進室長が異動(ブログ「肝臓のなかまたち」、2012/3/30)

 

 それから、今回の木村さんのコーナーです。

 


○木村委員

 それと、今までガイドラインでは35歳を境にというのがありましたけれども、先ほど35歳以上でも効果がある程度見られる場合もあるという発表がありましたが、今後ガイドラインを変更する予定はあるのですか。

○林会長

 明日(※注:3月3日)、熊田先生のところから発表があるかと思いますが
(※略)

○木村委員

 ありがとうございます。
 あと、事務局にお願いですけれども、今回、資料が私のところに来たのが(※注:2月)29日でしたが、私の場合、今朝出てくると10時に間に合わなかったので、昨日(※3月1日)からこちらに来ていますが、そうなると資料を把握するまでの時間が全然ありません。これは最初のころにもお願いしたと思いますけれども、委員にはできるだけ早く資料を届けてほしいと思います。それをお願いしたいと思います。
 それと、先ほど阿部委員からも予算の関係についてありましたが、昨年がギリギリの協議だったので、今年はもっと早く協議会の中で検討してもらいたいというのと、できれば集まったときに次回いつごろというぐらいは個人的には決めていただきたいなというのが要望です。その辺いかがでしょうか。

○神ノ田肝炎対策推進室長

 予算要望というお話もありましたので、概算要求前に時間を早めにということで調整させていただきたいと思います。


 

 ひとつはガイドラインの話で、最近は研究事業の成果を基にこの時期に最新版が公表されるというのが恒例行事になっています(昨年版の記事リンク)。これもまた重要案件なので、別途まとめようと思います。それと、北海道の木村さんにこの日程はかなり厳しいと思います。もう少しなんとかならないでしょうか。

 

 最後に、これは私くらいしか気にしていないかもしれませんが、委員の鳥越俊太郎さんが全然出席されていません。確認できたのは長妻昭元厚労相も出席していた、一昨年8月の第3回(記事リンク)までで、その時も参加しているようなしていないような感じでした。ジャーナリスト枠かがん患者枠かは分かりませんが、別の方を立ててはどうでしょうか。

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予防接種制度の見直し (10) ニュース記事に関連したブログ

2012/04/03 19:17

 

 年度末の1週間ほどの間に、かなり色々なところで展開がありました。大変なのですが順番にフォローしていこうと思います。まずは、この話題(前回の記事リンク)の続報から始めます。

 

 3月29日に第21回予防接種部会が開催され、資料が厚生労働省公式サイトに当日のうちに掲載されました。巡回されている方以外はご存じないと思いますがこれは尋常でない早さで、通常は大臣記者会見の内容なども翌日掲載になります。そんなわけで、これを優先します。

 

 第21回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会(※配付資料 厚生労働省公式、2012/3/29)

 

 前回予想したとおりで、目立った展開があったと思います。一般の方にも関心が高い内容だと思われるのですが、医療系ニュース以外の記事が見当たらないので私から紹介します。

 

HPV、B型肝炎も「定期1類」に- 厚労省が修正案(医療介護CBニュース、2012/3/29)


 厚生労働省は29日、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の会合で、ヒトパローマウイルス(HPV)、B型肝炎のワクチンも「定期1類」に分類するとの修正案を示し、了承された。(※以下略)


 

 詳細は前回紹介したので省きますが、この「1類」は「集団予防目的」「致命率が高い」のいずれかに該当するもので、いずれにも該当しない場合は「2類」となり、健康被害救済等の面で対応レベルが下がります(現状では、高齢者へのインフルエンザワクチンがこれに該当します)。――という点が問題視され、HPVワクチンを1類に入れるためでしょうか、予防接種法の条文を次のように修正する案が出されたのでした。

 


○致命率は一般に急性疾患に適用される概念であり、感染から重大な症状が顕在化するまでに長期間を要する疾病については、致命率の計算は困難であり適用がなじまないため、1類疾病の考え方として、要件②を下記のように変更する


致死率が高いことによる重大な社会的損失の防止を図る目的で予防接種を行う疾病


致命率が高いこと、または感染し長期間経過後に死に至る可能性が高い疾患になることによる重大な社会的損失の防止を図る目的で予防接種を行う疾病


 

 ただ、こうなるとB型肝炎キャリアから肝硬変・肝がんになり死亡する患者は子宮頸がん」の2倍以上にはなることが想定されます。様々な面から検討を加えても、HPVワクチンを含めてB型肝炎ワクチンを外す根拠を見出すのはかなり困難ではないでしょうか。ということで先の記事のとおり、B型肝炎も1類に移されました。

 

 私からは「見事な動きだといえそう」と紹介したように、B型肝炎ワクチンの定期接種化に明確な道筋が付けられましたが、一般の報道では取り上げられていないと思います。以上、約2年にわたって続けてきたこのシリーズも完結が見えてきました。ただ、もうしばらくは抵抗が残ると思われます。先ほど紹介した記事の関連記事で、こういったものがあります。

 

定期接種化「水痘、おたふく優先すべき」- 厚科審・予防接種部会(医療介護CBニュース、2012/3/29)


 (※前半略)厚労省では、現在、予算事業として接種費用を助成しているインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)、小児用肺炎球菌、ヒトパローマウイルス(HPV)の3種類のワクチンについて、定期接種化する方針を既に決めている。


 一方、ほかの4種類のワクチンは、財源との兼ね合いもあり、定期接種化できるかどうか不透明な状況。厚労省の外山千也健康局長は予防接種部会で、「今後、財源という問題を議論していく際に、一つの参考になる考え方を教えていただきたい」と述べた。

 

 これに対し岡部信彦委員(国立感染症研究所感染症情報センター長)は、「おたふくかぜの合併症で難聴があること、成人が水痘にかかると重症化することなどを考慮に入れるべき」と主張。加藤部会長は水痘について、保育園や幼稚園で発生すると、子どもを迎えに行くために親が仕事を休まなければならず、「病気は軽いかもしれないが、社会的影響が大きい」と指摘した。


 

 部会で定期接種化が議論されていたワクチンは7種類で、うち3種類は一昨年に人気投票を受けた政治主導で早々に公費接種化されました。また、肺炎球菌(成人用)は主に高齢者に使用される等の位置付けがインフルエンザワクチンにも近いため2類とされました。残り3種類のうち「水痘・おたふく優先すべき」=「B型肝炎は後回し」ということになります。

 

 また外山局長が登場して専門家とやりあっていますが、上記記事を見る限りでも成人がB型肝炎ウイルスに感染すれば劇症化するリスク、また持続感染者では「子どもを持つ親」が死亡するリスク(関連記事リンク)など色々と抜けていまして、このまま報道されてしまうと普通なら患者団体の反発は必至だと思います(肝臓病患者団体は割と大人しいのですが)。

 

 さらに部会の資料を見ていくと、こういったものが出てきます(資料2-2のPDFファイルp.18)。昨年3月11日に報告されたワクチン評価(記事リンク)などに含まれていた、費用対効果について整理されたものです。

 

 

 ここで問題と思われるのが「②回避される社会生産性損失など」の注釈で、「※1:家族等の付き添い、看護等による1年間の生産性機会の損失の回避分等を推計。本人分は含まれていない」とあります。

 

 私は昨年1月のエントリ(記事リンク)で、「※6:関連疾患の経過が複雑であることから推計は困難」として「生産性損失を考慮した社会視点での分析が行われていない」点が「現役世代男性のリスクが特に高いB型肝炎には不利」ではないかと推定したのですがこれが間違いで、そもそも将来的に本人の症状が悪化するリスクは考慮されていないというのが正解だったようです。

 

 この結果として、構図が近いHPVワクチンの評価も低くなっていたので突き上げられました、といったあたりが今回の結果なのではないかと思われます。

 

 おまけです。前回部会での「病原体の名前と病気の名前がごちゃごちゃ」という指摘を受けて、今回の新規資料では見出しが以下のように変わっています。個人的には、このいかにもなやっつけ仕事感は嫌いでもありません。

子宮頸がん予防 → ヒトパローマウイルス感染症

・ヒブ → Hib感染症

・肺炎球菌(小児) → 小児の肺炎球菌感染症

・肺炎球菌(成人) → 成人の肺炎球菌感染症

・水痘/おたふくかぜ/B型肝炎:変更無し

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第7回肝炎対策推進協議会 ニュース記事に関連したブログ

2012/03/26 20:15

 

 本業の年度末進行がありまして随分遅くなりましたが、一応取り上げることにします。表題の協議会は今月2日に開催されていたもので、今年度は8月29日の第6回(記事リンク)に続き2回目の協議会でした。半年ほど開いたこともあって、資料は最近の情勢まとめだけでもかなり大量になっていたのでした(もう少し回数を増やして頂けないでしょうか、という要望は委員の方からも出ていそうに思われます)。

 

 第7回肝炎対策推進協議会厚生労働省公式、2012/3/7掲載 ※3/2付)

 

 この中から、私が過去に取り上げた内容の続報を中心に紹介します。まずは肝炎ウイルス検診の話で、前回は阿部委員から「2008年度(平成20年度)に関連制度が旧老人保健法から健康増進事業に替わり、高齢者が対象外となったことで受診者が急減した」という指摘があり、私からは「08年1月から、保健所に加えて医療機関での無料検査も始まっていて、全体としてはそれほど急激な減少でもなく、06年度までで節目検診が一巡して希望者にはある程度行き渡った模様」としました。この阿部委員が今回提示された資料が「当日配布資料」です。

 

 

 ここまでは既存の資料に基づく内容でして、どちらかといえば気になるのは制度が変わったH20年度(08年度)よりも、その次のH21年度(09年度)の減少幅が大きいことです。08年前半頃までは薬害C型肝炎訴訟関連の報道も結構あったので、これを見て受診された方も少なからずいたのではないかと想像しています。

 

 そして、事務局(健康局肝炎対策推進室)からは、22年度(2010年度)の実績が提示されました(資料1・関連資料6)。「東日本大震災の影響により、一部の自治体が未集計となっているため、今後、各数値に変更が生じる可能性がある。」という注釈はあるものの、受診者数の合計は21年度約100万人に対して22年度は約81万人とかなり少なくなっています。選挙速報とは違って大都市圏の結果は概ね反映されているでしょうから、減少傾向は続いていると考えられます。

 

 この傾向を変えられる可能性としては、07~08年頃の薬害肝炎報道のようにB型肝炎訴訟を報道し、薬害よりもはるかに高い確率で不特定多数の国民が対象になっていることを一般に周知すれば良いのではないか――という提案は、昨年2月に第5回協議会のエントリに書いておきました(記事リンク)。これに関連して、新年度は「多角的普及啓発事業」に1億円の予算が付いて(資料6など)、実施法人は企画競争で選定されています(参考資料8)。4月以降、何かが動き始めるかもしれません。

 

 一方で、今年度は「実態把握事業」に1億円付いていたので、これまでの状況の取りまとめも公式で行われているのではないかと思っていましたが(記事リンク)、今回の資料(資料8)を見ると私が調べていた検査結果などの分析は対象外のようです。22年度分の確定値が出たら、以前にまとめたデータを更新しようと思います。

 

 もう一点取り上げます。前回協議会の議事録を紹介した際、「肝硬変・肝がん患者の高齢化・重症化」への対応が外されていて、代わりに盛り込まれた「調査研究」には「B型肝炎に関する新薬開発等」と明記されたという神対応を評価しました。これに関連して、今回の資料5-1が「B型肝炎治療の現況」・資料5-2が「C型慢性肝炎に対する治癒目的の治療法の進歩」と対になっているようで一部なっていません

 

 

 調べたことがある方には常識だと思われますが、こう並べてみると明らかになります。1992年のC型肝炎患者に対するインターフェロン療法承認(当時の経緯を紹介した記事リンク1 リンク2)以降、B型肝炎患者の治療は「効果が低い」ということで後回しにされ続けたといえます。その間に予防接種肝炎のピーク世代が犠牲になり、その子供世代は早期治療のタイミングを逸してきたのではないか、というのが私の推測です。

 

 私がB型肝炎訴訟を追っていた思惑は、以前から「B型肝炎ワクチン接種が一般に行われること」「患者がとりあえず何らかの治療を受けられること(治す気が無いなら難病認定くれ)」といった感じ、と2年前に書きました(記事リンク)。確か2002年か03年頃にこの話を知ってから既に10年近くが経ちまして、私の役割も終わりつつあるのではないでしょうか。

 


※追記

 関連記事は、湯川れい子さん(音楽評論家)の記事(3/16付)にしておきます。読売新聞には同様の内容で2009年12月に登場、という話を昨年紹介しましたので、これもリンクを貼っておきます。

 

 「検証C型肝炎」(本物)は完結したか(2011/8/2)

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赤のポエム ニュース記事に関連したブログ

2012/03/09 12:28

 

 こんなのを保存しているのも私くらいではないかと思いまして、今回も過去記事関連情報をひとつ紹介してみます。旧オーマイニュースが開設早々に閑古鳥状態となった後、2007年4~5月頃の話なので、もう5年ほど前のことです。私が比較的真面目に書いた記事として、こういったものがありました。

 

 未だ消えぬ第五福竜丸事件の傷跡(2007/5/7掲載)

 

 元記事を転載してエントリを作った時(09年)に補足説明を書いたように、背景としては07年の国民投票法成立と前後して護憲勢力が国内外から日比谷公園など各所に結集して抵抗活動を繰り広げていたことがあります。その中に明らかに問題な日本語があり、他の市民記者の方が取り上げてくださったのでした。

 

 日本の憲法は新品同様、ほぼ未使用(大津留公彦記者、2007/4/13掲載 ※魚拓)


 全国労働組合総連合の呼びかけによって日比谷野外音楽堂で開催された4・12集会に参加してきました。

 国民投票法案が衆議院特別委員会で強行可決されたので結果的に「改憲法案委員会強行採決糾弾集会」という名の集会に参加したことになりました。

(※中略)

 志位共産党委員長と福島社民党委員長が壇上に並んでいた(握手する姿を見ると選挙で共闘できないことが不思議に思える)。また、日本への造詣の深い詩人、アーサー・ビナードさんも訪れていた。以下、彼らの発言を要約する。

(※中略)

【アーサー・ビナード氏の発言】
・愁傷一国、値千金を皆さんと共有できてうれしい(日本人は最近こういうあいさつをしないな)
・日本とアメリカの大きな違いは武器の有無
・女性が武器を買いに来て商品説明を受けて「そんなに弾はいりません。主人を殺すだけですから」と言ったという小話があるが、過剰な兵力を求めないという意味で、それは目的がはっきりしていていい
・1954年、ビキニ環礁での実験は広島の1000倍の威力だったが、なぜそんなものが必要なのか
・「国防」という名で何でもできてしまう
・国家を操っている企業の利益を守るものが「国防」
・ケニアの環境副大臣が「もったいない」という言葉を環境保全の標語として世界に広めようと呼びかけた運動についてインタビューを受けた。その際、マスコミに武器のもったいなさについて訴えたがその部分がすべてカットされた
・日本の憲法は新品同様で未使用に近い。憲法を使い、外交をした内閣は未だかつてない
・国防総省はブラックホールを作って80兆円を毎年吸い込んでいる
憲法私たちの懐を守っている
・「平和とはどこかで進行している戦争を知らない、優雅な人のものだ」という言葉がある
・平和は戦争をしたがる人の準備の時間であると同時に、戦争をしたがらない人々への準備の時間でもある
・日本には超一流の憲法と三流の与党政治家がいる国
・「一流の憲法を選ぶか」「三流の憲法を作ろうとする三流の政治家を選ぶか」という段階に今の日本はきている

◇ ◇ ◇

 外国の方にここまで言われてうれしいような、恥ずかしいような……。日本国憲法のすごさを教えてくれてアーサー・ビナードさん、どうもありがとう。デモ隊の出発地点ではアーサー・ビナードさんのほか、憲法9条の会、事務局長であり、東大教授の小森さんも皆さんを激励していました。


 

 日本人なら小学校で教わると思いますが、日本国憲法は1946年製でおよそアメリカ原産です。その一方で、54年のビキニ事件でアメリカから日本国民を守った形跡など全くない「新品同様で未使用に近い」というわけです。すなわち、この「私たち」が指すのは日本国民ではなく、ここに集まっていた国内外の活動家の皆さんだという結論が得られたのでした。

 

 こういった基本的な前提知識の欠落が原因と思われる問題発言に対する批判として、日本では「小学校からやり直せ」と言われることも少なくないかと思われます。

 

 あれから、約5年が経ちました。

 

 「セシウムさいた」で講演 埼玉県教組の集会 批判受け表題変更iza、2012/3/8)


 埼玉県教職員組合などが10日にさいたま市内で開く集会で、「さいたさいたセシウムがさいた」と題した米国出身の詩人による講演を計画していたことが7日、分かった。

 

 演題は、講演を行う中原中也賞詩人のアーサー・ビナード氏の発案。同教組などは同氏の意向をそのままくみ、参加を呼びかけるビラを配布した。(※以下略)


 

 ……センスが小学生並になった気がします(と書いたら小学生から苦情が来るレベルだと思います。あらかじめすみません)。それでも、教職員組合の中の方はおよそ子供ばかりを相手にされているので違和感を持たれないのかもしれません。一般人の反感を買っては意味が無いと思いますので、何らかの形で外部の視点を取り入れられてはいかがでしょうか。

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予防接種制度の見直し (9)-2 ニュース記事に関連したブログ

2012/02/28 19:37

 

 これは2週間ほど前に取り上げたところなのですが、16日に第20回部会(1月27日開催)の議事録が公表されていましたので、これを見ながら補足をしたいと思います。そんなわけでタイトルは枝番にします。それにしても、厚生労働省の中の人は随分仕事が速くなっています。と、ここに書いておくと反応があるようにも思われます。

 

 第20回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録厚生労働省公式、2012/2/16)

 

 まずは、前回のエントリ(記事リンク)でも出てきた、予防接種法の1類・2類の件です。事務局案が説明されている部分を紹介します。

 


結核感染症課長(正林)
 (※略)3頁です。事務局のほうで7つの疾病を1類、2類とどのように分類するか案を作ってみました。(※略)集団予防効果のあるものとしては7つの疾病のうち、ヒブ、小児用肺炎球菌、水痘、おたふくかぜが考えられるのではないか。したがって、これは1類に分類してはどうか。残りの3つの子宮頸がん予防、B型肝炎、成人用肺炎球菌ですが、(※略)患者さんに対する死亡の割合ということで、「致命率が高いことによる」としています。その場合に子宮頸がん予防とかB型肝炎については、感染して何らかの兆候等を来した方を仮に分母にし、その後死亡に至る方を分子とした場合に、致命率が必ずしも高いとは言えないのではないか。


 それから、成人用の肺炎球菌については、残念ながら発症者数等が不明なのですが、有効な治療法も存在するなど、必ずしも致命率が高くはないのではないか。特に成人用肺炎球菌ワクチンは、現在2類に分類されているインフルエンザと、個人の発症や重症化の防止という意味合いもあって、似通ったものではないかなということを考えて、子宮頸がん予防、B型肝炎、成人用の肺炎球菌については、2類に分類してはどうかという提案をさせていただいています。(※略)


 

 前回も触れた「致命率」は、こういう指標らしいです。ただ、B型肝炎関連でいうと、少々古い資料ですが度々出てくるのが「患者調査」の結果で、B型肝炎患者(※無症候キャリア除く)の人数は慢性肝炎患者5万人、肝硬変・肝がん患者2万人の計7万人という推計値は一昨年の第1回肝炎対策推進協議会でも示されました(記事リンク)。

 

 一方で、今回の部会の資料でも「肝がん死亡数 約33,599-33,665人/年 うち抗原陽性率:15.5%」という数字が出ていまして、掛け算をすると死亡者数は約5,200人/年となります。HBVとの因果関係が認められない場合もあり得ますが、おそらくそれもふまえて日本肝臓学会から出されたパブコメでは「年間約4000人がお亡くなりに」とされていました(記事リンク)。

 

 

 以上、普通に考えればB型肝炎の致命率は結構高いはずなのですが、もしかすると「子宮頸がん予防ワクチン」とは異なり例えば「肝がん予防ワクチン」とは書かれていないので、まさかの「対象疾患は急性・慢性B型肝炎限定で、進行した肝硬変・肝がんは対象外」なんていう前提条件でもあるのかもしれません。

 

 自分で書きながらも疑問に感じてはいるのですが、この仮定も考慮して以下の部分を参照してみてください。

 


○倉田委員

 前から私は言っているのですが、病気の病原体の名前と疾病の名前がごちゃごちゃになっていますよね。こういうのはいいことではないし。私はいま区分を変えろと言っているのではないのです。1類疾病は実にきれいなきちっとした病名になっていますが、それからあとのところは、ヒブなんて日本語になると何かわからないです。これはおかしいです。ただ、Haemophilus Influenzae Type bをヒブとカタカナで読んでいただけでしょう。肺炎球菌、これも肺炎球菌なんて疾病としてどこにもない。日本だけが扱って、ほかのところはきちっとした書き方がしてあります。水痘はいいですよ。おたふくも病気ですよね。その下の参考の表もそうですが、ヒブ、最近全部菌名になっていますよね。ヒブというのは菌名なのか日本語なのか何なのかわからない。これはきちんとした病気でワクチンですから、病気の名前にきちんと変えるべきだと、前にも言っていますが直したほうがいいと思いますね。

(※中略)

○健康局長

 倉田委員の疾病名のところのご指摘がありましたが、ヒブというのは略なのですけれども、これは法律で定めるときに、学術的な名前で定めるのか、それともそれをヒブというのとはまた別で、そういった意味ではとんちんかんな形にならないようにいたしますけれども、法律でもヒブと言う場合もあり得ますので、その辺は今後詰めていきたいと思っております。


 

 そういえば、1年ほど前に肝炎対策基本指針が作られていた当時、協議会で患者側委員からの要求があり、対象(持続感染者)に「ウイルス性肝炎から進行した肝硬変又は肝がんの患者を含む」と明記された経緯がありました(記事リンク)。当時はこの必要性にかなり疑問を感じたのですが、案外こういう記述が重要になるらしいです。

 

 ということで、病原体の名称ではなく疾病の名称で揃える方向になるようです。これまで「子宮頸がんワクチン(通称)」といった表記をしてきましたが、制度上の記載は単に「子宮頸がん」とするのでしょう。そうすると、「B型肝炎」は例えば「B型肝炎及びB型肝炎から進行した肝硬変又は肝がん、並びに症状を認めない持続感染」あたりが妥当ではないかと思われます。

 

 もうひとつ、やっぱりこれは出てきていました。私が資料を見て書いていた内容にも近いのですが、一応紹介しておきます。

 


○保坂委員

 (※略)もしB型肝炎のワクチンについて、ユニバーサルワクチンということでする場合、乳児かどうかはわかりませんが、少なくとも幼児期にされるようになると思います。社会防衛の意味ですが、子宮頸がんワクチンは確かにワクチンを多くの方にしたら、子宮頸がんのヒトパローマウイルスがなくなるかどうかということはあまり期待できませんが、B型肝炎については、ワクチンをユニバースにやることで、B型肝炎ウイルスがこの社会から消えていくという効果は十分にあると思うのです。(※略)

(※中略)

○健康局長

 いま意見を承りましたが、少し説明したいのは、いま1類、2類で仮にこういう軸で分けてありますが、すべてそれでall or nothingであるわけではありませんで、いまB型肝炎の話が問題になりましたが、確かに大きな意味では、言葉はおかしいかもしれませんが、社会防衛的な意味もあると思います。しかしながら、1類におけるいま新たにヒブや小児用肺炎球菌、水痘やおたふくかぜといった話での感染力といいますか、釈迦に説法ですが、そういった話における集団の防衛という観点とはちょっと違うわけです。そういったことも全体的に考えながら分類する必要があるのではないかと思っております。いままでいただいている意見の中で、すべてそれだけでなかなか分けられないところが悩みなわけですが、そういう側面もあるということをご理解いただきたいと思います。


 

 B型肝炎ワクチンを一般の乳幼児やその上の年代に接種することで、持続感染者数が著しく減少し、感染リスクがおよそ無くなっていくという効果は、大半の先進国では90年代前半頃には認められていました。しかし、予防接種法の「集団予防目的」はこうした社会防衛的な意味でもなく、例えば保育所や学校などのある程度小規模な集団における流行の予防が想定されているとの説明になりました。なかなか大胆ではないでしょうか。

 

 ここまでの内容を総合すると、HPVワクチンをB型肝炎ワクチンより優先している現状を固定化するには、客観的な状況をねじ曲げる程度の法改正が必要になるのではないか――という結論は前回から変わらないと思います。

 

 議事録を流し読みした結果としてさらに何か挙げるとすれば、長妻昭元厚労相や菅直人前首相の時にみられたような、公費接種事業も導入させた露骨な政治介入が見かけられなくなった気がします(事例を紹介した記事リンク)。それで、月並みな表現をすれば官僚主導で動いているようですが、これが見事な動きだといえそうです。ここからどう展開するのでしょうか。

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載らなかったニュース ニュース記事に関連したブログ

2012/02/25 15:17

 

 昨年末に「年明けから『これまでのあらすじ』を色々と取りまとめて、ひとまず完結した形を作ることを来年(特に前半くらい)の目標にしようと思います」と書きました(記事リンク)。いい機会なので、今回もひとつ取り上げてみます。

 

 旧オーマイニュース当時に投稿した記事で、載らなかったものは誰かが作ってくれた「ノラナイニュース」というネタサイトに投稿していました(まとめ記事リンク)。しかし、これもオーマイニュース(日本版)と前後して消滅しましたので、このblogを作った際に「●没記事アーカイブ」というフォルダを作ってまとめています。

 

 その中で、最後の記事となったのがこちらでした。

 

 「元少年に死刑判決」報道で見かけなかった話 (2008/5/6投稿)

 

 これは、同年4月22日の「光市母子殺害事件」広島高裁(差し戻し審)判決と関連報道を受けて書いたものでした。この事件が判例となった場合に、真っ先に影響が見込まれるのが旧山香町夫婦殺傷事件(2002年1月)の留学生(うち1人が当時19歳)ではないか、ということで、私としてはカテゴリ「大分」の記事です。

 

 この裁判はその後、再上告審が争われまして、今月20日の上告棄却もまたかなり大きく報道されました。ただ、内容的には先に示した約4年前の時点で概ね固まっていたのではないかと思います。当時の関連報道を挙げておきます。

 

 【光市母子惨殺】 判決は「死刑」…弁護団、ため息→上告へ

 朝日新聞女記者「この判決で死刑に対するハードルが下がった事に対してどう思いますか?」

 (いずれも「痛いニュース+」、2008/4/22)

 

 常時こんな具合で、死刑反対派が被害者遺族の本村さん個人をやっつけることで得点に繋げようと長らく頑張られていたのですが、そのおよそ全てを1人で返り討ちにされました。この直後の6月には秋葉原通り魔事件(8日)の影響もあったと思いますが、これも朝日新聞の「死に神」報道(18日)が最悪の自爆になりました。

 

 朝日新聞「死に神」報道に法相激怒 「死刑執行された方に対する侮辱」(同上、2008/6/20)

 

 この件について、私は「伝統的な死刑廃絶運動に氷水をぶっかける事件」と評価しました(記事リンク)。特に調べたわけではありませんが、この時期以降「ディベート」推奨活動が見られなくなったような気もします(※こんな強力な一般人が何人も出てきたら、マスメディアが潰れてしまいます)。また、「市民みんなが記者だ」を掲げたオーマイニュースを含む「市民メディア」の類が軒並み壊滅状態となりました。こちらは私も居合わせた確実な話です。そんなわけで、最初の方で紹介した記事が「最後の没」になりました。

 

 一般人の感性でメディアや識者・「市民団体」などの伝統的な主張を解体する動きは少なからず見受けられますが、中でも本村さんの影響はかなり大きいと思います。私は初期の06年に書いた記事(リンク)で「いわゆる市民運動の中に階層構造があり、一部の専業活動家の主張しか通らない」(※要約)と書いたほどなので、この方が人並み以上の日常を取り戻されることを望むものです。

 


 

 ついでになりますが、少年犯罪関連で載らなかった記事はもう1本ありました(記事リンク)。05年に東京・板橋区で発生した管理人夫婦殺害・社員寮爆発事件を取り上げ、「少年法の厳罰化」が一部で糾弾されて社会問題ともなった割には、当時15歳だった少年に懲役刑が適用されたのに全く注目を集めなかったと説明しました。反対運動は少年のために行われているものなのでしょうか

 


 

 光市事件の副産物として、被害者側の人権がある程度考慮されるようになったと思います(※10年以上にわたって張本人が酷い扱いを受け続けてきたのが大変お気の毒なのですが)。一般人の感覚に近い形に、社会の方が変わってきた傾向は確かにあるわけです。

 

 犯罪被害者以外でも、私は最初に書いた記事(リンク)で「がん対策予算が300億円に増えたが、被爆者対策には1500億円以上配分されている。声の大きさで予算の取り分が決まっている」と、その後に書いた薬害肝炎の記事(リンク)では「一部の問題では被害者が高齢であることを理由として早期救済を訴えているが、B型肝炎患者は高齢になる前に死亡するリスクが高い」と書きました。

 

 しかし、皮肉なことに国民総不幸社会の訪れに伴ってこうした傾向もまた変わりつつあります。次の記事は産経新聞なのですが、地域ニュースなのでizaには無いようです。

 


一円玉数枚のみ 国の「通知」生きず…都会の盲点 さいたま3人餓死?

(産経新聞埼玉、2012/2/22) より抜粋

 

□新たな困窮

 厚生労働省は平成22年の猛暑で熱中症となった生活困窮者が相次いで死亡したことを受け、電気やガスなどを止める場合は、事業者と自治体が連携をとり、生活保護の受給を勧めるなどの対応を取るよう通知した。しかし、今回もその趣旨は生かされなかった。生活保護問題に詳しい小久保哲郎弁護士は「これまでは高齢者や障害者が社会的弱者とされてきたが、現在の日本は不況が続いており、若くても職がなく困窮してしまう場合も多い」と指摘。「厚労省の通知は建前になっている。自治体は昔ながらの社会的弱者だけに目を向けて、新たな困窮者をフォローできていないのではないか」と話す。

 

□相談を断る

 部屋の住人夫婦はいずれも65歳以下で息子も成人していた。日本福祉大健康社会研究センターの鈴木佳代主任研究員(社会階層論)は「家族構成から民生委員の見回りの対象家庭になっておらず、周囲も何とかなるだろうと考えてしまった可能性がある」と話す。(※略)小久保弁護士は「近年、生活保護の受給への風当たりが強くなり申請に気後れしてしまうこともある」と、困窮者が生活保護に「抵抗感」を持つケースがあると指摘する。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/120222/stm12022214430001-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/region/news/120222/stm12022214430001-n2.htm

http://sankei.jp.msn.com/region/news/120222/stm12022214430001-n3.htm


 

 私はまたひとつ、世の中を変える絢爛舞踏の活躍を見届けることができました(関連記事リンク)。現在の私たちは、こうしてデータを残すことで自らの記憶を将来に残すことができるのですから、その点では恵まれていると思います。

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